あの日から数日が経ったけど大して何も起こっていない。あの女の子も友達には言ってないんだと思った。これがバレたら、なんて怖くて考えたくない。
みくちゃんは信用してるけどこればっかりは言えないな。何か隠し事みたいで嫌だけど仕方ないよね。学校1のモテ男にキスされたなんて言ったら、ただじゃ済まない。このまま忘れよう。
そんな事を思っている最中。
4人組の女の子達が来た。なんか嫌な予感がするなと思ったのは、4人の真ん中に告白をしていた女の子がいたから。そして、案の定私は彼女達に呼ばれた。みくちゃんは心配そうに見ていたけど、大丈夫って笑顔で表しといた。
廊下に出ると告白をした女の子が
「ねぇ、あんたさ陸くんの何なの?彼女?まぁ、そんな顔で彼女はないか。」
と笑っている。
怖いとかそんなんより、みんなが聞いてる。この話を。やだ。広まるじゃん。
「おい、聞いてんの?彼女もどきさん。
悪いこと言わないから離れろよ。」
可愛い顔なのに出てくるのは汚い言葉。
はぁ。私だって好きでキスしたわけじゃない。むしろ、された側。なんで、私が悪くなってるの?もーやだな。
と思ってると、背後からフワッと香る香水。そして、誰かに抱き締められている状態で女の子達は唖然としている。
「……何してんの?」
とどす黒く低い声の……松本陸くん。
「あ、いやっ。あの、その子が陸くんの邪魔してると思って……」
とさっきとは違うことを言う。
「あ?てかお前こないだ俺に告ってきた奴じゃん。なに?振られた腹いせかよ?俺がお前みたいのと付き合うとでも思った?俺はよ、お前らみたいな汚ねぇ女が一番嫌いなんだよ。」
と、ボロクソ言う陸くん。
言われた彼女達はウルウルしながら、私を睨んでどっかに走って行った。
すると、ふぅーっと後ろで息を吐く陸くん。
そうだ。今だ。言わなきゃ。
未だに抱き締められている私は陸くんの腕から抜けて、陸くんに向き直す。
「あ、あの!こないだ確かにあの状況の中あの場にいた私は悪いんですけど、な、何でキスなんてしたんですかっ⁇」
と叫んでしまった。しーんとした廊下にほとんどの生徒は釘付け。
「ふっ。お前おもしれぇな。」
逆ギレすると思っていたのに、笑い出した陸くん。
「へっ?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
「だってよ、俺はキスした事みんなの前では言ってねーのにお前自爆したな。」
と、笑ってる。
そーだよね。自爆ですよね。って、そーじゃなくて。
「あの、私怒ってるんですよ?初対面なのにキスされて。」
「あ?初対面?……まぁ、確かにそーだったな。」
と、思い出してる。
そーだったな。じゃなくて、謝らないのかな、この人。
「もーさ、良くね?」
はぁぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁあ⁇⁇
何が良くね?なんですか!
「何も良くなー「だってよ、俺ら付き合ってるもんな。」」
私の言葉を遮って言った彼の言葉に聞いていた女の子は絶叫。
はぁぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁあ⁇⁇
なんなの、この人。
人違いじゃない?
しながら私の腕を引っ張って強引にキスされた。
またぁぁあぁぁああぁ?
ふっ。と笑ってどっかに行く陸くん。
はあ。嫌な予感当たったじゃんか。
それから、みんなからの質問攻めに私は必死に誤解を解いた。