そんなことをいきなり言われてもわかりませんよね、と瑚城は言った。

あからさまに表に出すものこそいなかったが内心では皆、そう思っていた。

何故なら石霊とはその名の通り石に宿る神様であり人に宿ることがあるなんて聞いたことがなかったのだ。

「今、お見せします。どなたか小太刀などを貸していただけますか?」

不思議そうな顔をしながら澪が瑚城に小太刀を差し出す。

瑚城は小太刀を逆手に持ち、迷わずに首に突き刺そうとした。

皆が息を呑むも首に刺さる直前、ナイフはピタリと停止した。

ぎゅっと強く閉じられていた瑚城の目が開くとそこには先程までとは真逆の剣呑とした光を湛えた眼球があった。

「っち。……誰だよ、オレの瑚城ちゃんの体を傷つけようとしてんのは」

四人をギロリ、と睨む瑚城が先程のおっとりとした姿にどうしても重ならずに驚きを隠せない一同。

それを差し置いてふわりと前に出たのは水晶。

盲目である彼女は少し自信なさげに口を開いた。