…私、肇先輩にフられたんだ





私はただその場に立ち尽くしたままだった





すると天原純が寄って来て





「これで邪魔者は消えたな」





「…え?」



私は天原純の方を見た





「よかったじゃん。あんな奴、やめておいて正解だよ。」





天原純の口は微笑っている




「何なのあんた!!私の邪魔ばっかりして、何が楽しいのよ!」





天原純は黙ったままだ




でも私は口が止まらない




「ほんともう嫌!!あんたのせいよ、あんたなんか大嫌い!!あんたと出会ってなければ…」






涙がこぼれ落ちてゆく









すると


天原純は私を抱きしめて来た









「…ほら、もっと俺のせいにして泣けよ」


天原純は低めの優しい声で私に囁いた




私は段々と涙が溢れて止まらなくなり、声をあげて泣いた







すると天原純が抱きしめる強さも強くなった






「天原純のばか〜〜〜っ」




「うん、そうだよ。ばかだよ」






天原純は私の頭をポンポンしながら
優しい声色で言う








それを何度か繰り返し

私は落ち着いてきた






私と天原純はベンチに座った







「……もしかして…わざとアレ言ったの?」



「何を?」




「肇先輩のこと、やめておいて正解ってこと」





「…だって先輩、泣くの我慢しようとしてたし」





…図星だ


私は悔しくて言葉が出なかった







「俺の前では我慢するなよ」





私はそれを聞いてふいに笑ってしまった





「あんたなんかもう御免だわ」





それに連れて天原純も笑い出す




「小春先輩、もうすぐ夏休みじゃん?遊ぼうよ!」




「今言ったの聞こえなかったの?行かないよ。てかまだテスト終わってないし」




「あっという間だって」








そんな感じで、結局帰りも一緒だった







天原純は気をつかってくれたのかもしれない







…邪魔されたことにかわりはないけど









もしかしたら、天原純は

意外と繊細で

気が利いて…




本当は優しいやつなのかも…








いやいや!





もう天原純と関わるのは御免だ!!








でも

きっと天原純は

私を逃がす気などないのだろう










そして


そんなことを考えている私に


敵意を示す女子が現れるなんてこと


私が予想するはずもなかった