なんでかな、翔の前では素の自分でいられる。


会ったばっかりなのに。


あまりにも似すぎているからかな?

「んじゃ、戻るか。」


「うん。待っててくれてありがとね。」



自然にあたしの口からそんな言葉が出ていた。



少し翔は驚いて


「お前、俺が嫌じゃないの?」



「だって翔はなにも悪くないもん。

あー、でもやっぱ意地悪だから嫌いだ。」



「あっそ。」



そうそっけなく返してあたしに背中を向けて歩き出した。


そしてポツリと



「さっきは泣かせて悪かったな。」





今までのもやもやがなくなった心に

秋を知らせる風が吹いた。