ある日、家に帰ると珍しくかあさんがいた。


「翔、お通夜行くわよ」


「誰の?」


「あの女の夫よ」


あの女とはもちろん親父の浮気相手。



「その人ってかあさんの仕事の同僚だろ?」


「そうだけどなに?

あの女の家庭なんて潰れちゃえばいいんだわ」



あんなに優しかった母さんをここまで変えたあの女が許せなかった。


何度か夫婦で家にきたことがあって、話したことがある。

その頃の印象は綺麗なおねえさん


まさにそれに尽きた。



俺に優しくしてくれて、同い年の娘がいるから今度あってほしいなんて言われてた。


だからあの人に裏切られた悲しみもかなり大きかった。