先生の手が触れる時


「お…父さん…」

凪のか細い声がリビングに響く

俺はぐっと唇を噛み締める

「あなたが……もし凪の父親でもなんでもなくて…俺が…教師になってなかったら…ただのこの子の彼氏だったら…俺はあなたをっ…」

襟首を掴む手が震えた
怒りなのか悲しみなのか良く分からない感情が渦巻く

俺はそのままうつむき、口を開く

「………殺していたかもしれない」

例え、凪に軽蔑されようと

彼女を暗闇から救えるなら、俺は自分の手を汚してでも守りたい

そう思う

でも、それができないのは

俺が教師になって、人との繋がりを大事にしようと思えるようになったから

凪に出会って
彼女の隣にいる幸せを知ったから

「……でも…それでも、あんたは…あの子にとってたった一人の肉親で…父親なんだよ…」

俺はその言葉と一緒に襟首から手を離す

その瞬間、後ろにいた凪が前に出てきて
そのままの勢いと共に父親の顔に向かって手を振り上げた