「………ぁ」

私は、先生に背を向けたまま急いで涙を拭って
その場から離れようとした

だけど、そんな私の手を先生の手がつかんだ

「……待ってくれ」
「………っ…」

その声があまりにも真剣で体が強張るのが分かる

「……離して…」
「……」

何とか声を出してそう伝えても先生は握った手を離してはくれなかった

「……こんなとこ…見られたら…」
「じゃあ、美術室で話そう」

予想外の先生の言葉に思わず顔をあげれば
そこにはずっと見ないようにしていた先生がいた

先生は私を見ると、大きく目を見開く

「……泣いてる…のか…」

そう呟いた瞬間、私を掴んでいた先生の手が緩んだ
私は、ぐっと力をいれてその手をふりほどき走り出した