「遠野…凪です」
「…君は、そんな風に笑うんだな」
「え?」

先生が立ち上がって椅子に座ってる私に顔を近づける

眼鏡越しの瞳がとても綺麗で
少し長い前髪の奥から真っ直ぐな視線を注がれる
その綺麗な瞳に映る汚い私。

「…遠野凪。うん、覚えた。俺の絵を見て笑ってくれた子。それと笑うと少し幼くなる子」
「……幼くなる?」

先生はゆっくり近づけた顔を離し
また自分の椅子に戻る

「うん、笑うのに慣れていない。慣れていないからこそ笑うと子供のように無邪気になる」
「………」
「君は、面白い」