「あぁ。いずれ、話すつもりだけど。だから、話せなくたっていい」

後ろから俺の体を抱き締める腕に手をあてる

「……そんなこと、気にしなくてもいい。ただし、黙ってることで君が傷つくなら俺は許さない」
「っ!」
「……まぁ、言えないことだってあるだろう。だからまだ、無理に聞かない」

そう優しく呟くと、遠野はおでこを背中にしばらく押し付ける

そしてぎゅっともう一度抱き締めてから手を離した

「ありがとうございます、緑川先生」
「あぁ」
「それじゃ、さようなら」
「おう。気を付けてな」