「山根先生が酔ってないなんてめずらしい!」
「なんかね、今日は酔える気分じゃないんすよ、オレ」
山根、早川、浦辺の三人は、居酒屋を後にして繁華街を歩いていた。
「吉原先生も来れると良かったのにぃ。鞘野先生まで来れないなんてー」
浦辺が空に向かって叫ぶと、早川はそれを静止させるように口を手で覆った。
「あー、早川先生。そういう行動が誤解を招くんですよ」
「だから、私は別にそういうつもりで行動しているわけじゃ……あ、ほら、空綺麗じゃないですか」
話をそらすように空を指さす早川。
山根も見上げながらつぶやく。
「そう言えば今日も流星群が見られるらしいですからね」
嫌な夜を思い出す。
早川の中でも、山根の中でも、妙な気持ちが渦巻いていた。
「じゃあ展望台行きません?」
「浦辺先生、こんな時間に展望台なんて開いてないですよ」
「いいんじゃないですか、早川先生。開いてなくても高いところから見れば、こんな明るい繁華街からよりは星も綺麗に見える」
山根はそう言うと、路地を曲がり展望台の方へ歩き出した。
喜んでついていく浦辺としぶしぶ後ろを歩く早川。
その頭上をうっすらと流れたのは、ひとつ目の流星だった。

