「一緒に、見ちゃいましたね」
そう言って笑顔を見せる涼香。
直哉はそこへゆっくりと歩み寄る。
「髪……みだれてる」
「えっ、そうですか?」
慌てて涼香は自分の頭に手を置いた。
直哉が隣にいる喜びと、嬉しさと、そしてさっきまでの恐怖を抑えるのに必死で、そのまま腕を盾代わりに表情を隠す。
どうしても小刻みに動いてしまう肩を止めることはできない。
「あっ、ほ、ほら。吉原先生、何か願いごとを……」
「早瀬……」
「……先生」
直哉は涼香を強く抱きしめた。
その瞬間に、ずっと我慢してきた涙が涼香の瞳から一気に流れ落ちた。

