隣に見える美咲の表情が、さらに重く直哉にのしかかる。
そして同時に浮かぶ涼香と早川の姿。
何かが気持ちを落ち着かせない。
「……美咲、キミも来るか?」
思わぬ言葉に目を大きく開く。
美咲は感じていた。
直哉は自分が疑いの気持ちを抱いていることに気づいている。
だからこんな言葉を……
「遠慮しておくわ。職場に顔を出すなんて悪いもの。まだ時間は大丈夫だからあなた一人で行って来て。心配なことがあるんでしょう?またすぐに戻れるんでしょう?」
直哉は力強く頷いた。
「私は繁華街の方へ生徒の見回りに行ってるから。こっちに戻ったら連絡して」
そう毅然とする美咲の肩に一瞬手を置き、直哉はバス停に向かった。
タイミングを合わせるかのように一台のバスが入って来る。
扉から顔を覗かせた直哉に手を振り、その後テールランプを見送った美咲は、後ろから走って来たタクシーに右手をかざした。

