禁じられた放課後



まもなく青いラインの入った車体が到着すると、直哉は入口近くの吊り革につかまった。

すぐにいくつかの学校の制服が目に入る。

無意識に自分の生徒となる者の姿を探したが、この辺りにはいないらしい。

扉に背を掛け会話を楽しむ若い二人は、直哉の職場とは違う高校のカップルのようだが、周りを気にすることなく寄り添い世界に浸っていた。

直哉は自分にもそんなことがあったような、なんとももどかしい気持ちに思わず苦笑いをした。



ちょうど目当ての高校が建物の陰に姿を見せ始めると、車内にも直哉の教え子となるであろう学生の姿がまばらにもあったが、当然直哉のことを知るはずもない。

このまま当たり前のように到着する。

そうなるはずだった。