生い茂る緑の木々は変わっていない。
何度も目にしたバス停の時刻表、空ばかり眺めていた教室の窓。
ほんの一年離れていただけなのに、直哉は桜台高校の風景になんとも言えない懐かしさを感じていた。
そもそもそれほど長い期間ここにいたわけではないのに、ずいぶんいろんなことがあったせいで、不思議と直哉の感情を昂らせるものがあったのだ。
「吉原先生、おかえりなさい!」
職員室で語る海外での話題。
直哉を取り囲んで、山根を含めた教師たちはその話の内容に耳を傾けた。
相変わらずの浦辺はどんな時でも異性の話に興味津々で、アメリカでの教師仲間について質問が集中する。
そしてそこにいない早川は、今年の春に別の高校へ異動したとのことだった。
鞘野とのことは詳しく聞かなかったが、早川が面会に通っているらしいことは知ることができた。
その先に見るものは、きっと二人が決めて行くことになるのだろう。
隣の席で笑顔を見せる山根は、なんとか年明けにリハビリを済ませ、ちゃんと卒業生を見送ったらしい。
ついでとばかりに、涼香が近くの短大に入学したという情報を付け加えられた。
苦笑いする直哉に山根の重い腕がのしかかる。
「無事笑って卒業させましたから」
そう誇らしげに胸を張るのだった。

