直哉の熱心な態度と筒井の協力もあり、研修中にあった採用試験を受けていた直哉は、来期からアメリカでの正式な活動が実現することになっていた。

クラスを任されるほどの大きな役目ではないが、夢だった日本語教師をこの国で続けることができる。



「直哉、メールが届いてるわよ」



筒井に直接お礼を言うことを目的に一度日本に帰国することを決めた直哉は、出発の朝に一枚のメール便を受け取った。

そしてその差出し人に思わず息が漏れた。



「美咲……」









飛行機の小さな窓から海を見下ろす。

空に負けないくらい青く視界を占めるそこから目を外すと、直哉は乗務員にコーヒーを頼み美咲からのメールを開いた。

離婚届で最後に見た美咲の文字。

変わっていない斜体のかかった文字だ。