不思議そうに僕の名を呼ぶ尚に、思わずくすりと笑みをこぼすが、慌てて口を押さえ、様子をうかがう。
すると、僕の机を見た尚の友達の一人がこんなことを言い出した。
「あれじゃね?なんか用事でもあってかえったんじゃねえの?ほら、荷物ないし…」
その通り。だって隠れるときに偽装工作として一緒に持ってきたんだもの。
そんな僕の意図を知らない尚と友人達は僕の思い通りに、僕が帰ってしまったのだという形に話は片付いた。
「ふふっ、みんな単純だなあ」
一通り楽しんだ所で、そろそろネタばらしをと、畳んでいた体を動かそうとしたそのとき。
「そうか、なら、丁度いいな」
……え…。