「売られたって言っても、人身売買とかじゃなくてね?…利用、されたんだ」




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中二の春。

母親は出て行った。



毎日毎日物が飛び交う喧嘩をしていれば、こうなることは仕方の無かったことなのだろう。



寂しい気持ちは勿論あった。人並みに好きだったし。



でも、どうにかできる年齢じゃなかったから、俺は大人の事情に従うことにした。



今思えば、それはただの言い訳だ。


どうにも出来なくたって、声を上げることは出来たはずだ。



今となっては、もう、しょうがないことだが。