そこは、4階の空き教室。 毎週木曜ふたりで補習をしていた、私と翔ちゃんの思い出の場所。 窓際の前からふたつ目の席で、椅子を向かい合わせにして、必ず私が前向きの方に座るんだ。 いつもと同じところに座ってみると、いつもなら目の前で笑っている翔ちゃんの姿がないことに悲しくなって、またもや涙がこみ上げてくる。 こんなところにひとりで座っていたって、何も変わらない。 翔ちゃんが向かいの椅子に座ることは、きっともう二度とない。 過去にすがりついたって、現実は残酷だ。 「翔ちゃん…」