俺には14歳の妹がいる。
不登校で社会から逸脱したダメ人間の可愛い可愛い妹だ。


いつも夕方に帰宅する俺と同じ時間に起きてくる可愛い妹は、今日もパンダの部屋着という鼻血ものの姿で寝室から出てきた。


「ユイ〜。腹減ったー。」


「…ユイも。お散歩行ってくるから、何か作っといて。」


あっさりと言って、ユイは出て行った。どうやら我が妹には自分が家事をやるという選択肢は最初から無いらしい。


一日中引きこもってアニメやゲーム、ぐうたらな毎日を送っている妹はしかし毎日の散歩だけは欠かさず行っている。
俺と妹には親族がいない。たった二人の肉親であり、兄弟である俺達には両親もいない。


妹、ユイの引きこもりの原因は俺のせいでもある。だからこそ、あいつには好きにさせているし何も言わない。
ただ、罪悪感という名の柵だけが俺を取り巻いている。


ユイは、俺を許しはしないだろう。別に仲が険悪なわけじゃない。どっちかっつーと兄弟仲はかなり良いと思う。


けど、あの過去はどうしたって無いことには出来ない。あの過去のせいで、ユイの未来は変わってしまった。
…決して良い方ではなく、悪い方に。