俺の女友達の中に『雨宮 香音』というすっげぇ美人な女がいる。美人っつーより愛らしい感じの女で、黒髪にナチュラルメイクの清楚系の清純派美少女だ。


俺の家を溜まり場に、俺を入れた男女合わせて七人がよく集まる。そんで、雨宮 香音もその一人。
けど、三ヶ月前くらいから男が出来て、あんまり溜まり場に来なくなった。


しかも、驚いたのが雨宮 香音の男が『吾妻 雄大』だったということだ。
吾妻 雄大といえば、裏じゃかなりデカい金融組織である吾妻組の次男で、美形な上にカリスマ性の塊みたいな男だった。


その分、女関係も派手で有名で吾妻 雄大の本命の女は今までいたことがない。
だからこそ、雨宮 香音の言葉に衝撃を受けた。彼女はこんなくだらねぇ嘘をつく女じゃない。


俺が難しい顔をしていたからか、雨宮 香音は鈴がなるような心地よい声で笑った。初めて会った時から、彼女はよく笑う女だった。


『わたしと吾妻くんは、お互いに不健全な気持ちで付き合っているから大丈夫だよ。』


『不健全って……大丈夫じゃねぇだろ。つーか香音、お前好きな奴がいるっつってなかったか?』


『………その人よりも、吾妻くんを好きになろうとしてる最中。』


そう言った時の香音の表情は、いつもの変わらない笑顔だった……。