『じゃあそろそろ帰る。』帰っちゃうんだ…。
『ん、あたしも。』お礼、言いそびれちゃった。
「またね」すら言えない。同じ学年ならまたいつか会えたりするかなぁ…?
あたしは遠くに消えてく君の背中を静かに見送った。
『ねぇ、振り向いて…』君に決して届かない独り言。振り向いてくれるはずなどないけど。
そんな都合のいい事考えを望んでると、少年は不意に振り返る。
『日が暮れるし早く帰ろよ?またな。』と言うと、再び走り出した。
『…っまた!』勇気を振り絞り、あたしも伝える。
どうして君はあたしが考える、嬉しい事を簡単にしてくれるの。
━━ーー これは恋に似ている。
恋はまるで、とびっきり甘くて幸せな気分になれる砂糖に埋れたチョコレート。
この時はまだ、叶わぬ恋なんて知らなかった。
チョコレートは、ただ甘いだけと思ってたように。
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