偽恋♥とらいあんぐる。〜義理チョコの答え〜



『じゃあそろそろ帰る。』帰っちゃうんだ…。


『ん、あたしも。』お礼、言いそびれちゃった。



「またね」すら言えない。同じ学年ならまたいつか会えたりするかなぁ…?

あたしは遠くに消えてく君の背中を静かに見送った。


『ねぇ、振り向いて…』君に決して届かない独り言。振り向いてくれるはずなどないけど。


そんな都合のいい事考えを望んでると、少年は不意に振り返る。


『日が暮れるし早く帰ろよ?またな。』と言うと、再び走り出した。


『…っまた!』勇気を振り絞り、あたしも伝える。

どうして君はあたしが考える、嬉しい事を簡単にしてくれるの。




━━ーー これは恋に似ている。


恋はまるで、とびっきり甘くて幸せな気分になれる砂糖に埋れたチョコレート。

この時はまだ、叶わぬ恋なんて知らなかった。


チョコレートは、ただ甘いだけと思ってたように。


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