『じゃあそろそろ帰りますか〜』顔に似合わずおどけたような口調で切り出すと、
あたしの肩をポンと叩いた。
『うん、帰ろ。』優香も賛同した。
下駄箱を出て、見上げれば青空。お日様があたしたちをキラキラと照らす。
いつも通りの変わらぬ風景。この瞬間を切りとって保存出来たらいいのにって思う。
見上げたまま眩しくて両手で日を遮った。ねぇ、今君はどこにいるの?
あたしと同じ空を見ていますか?
気づけば小学校に行く時に通ってた曲がり角。
なんだかとても懐かしく思えた。
『あたし今日はこっちだ。また明日ね!』今なら、また明日ねって言葉素直に言えるよ。
『え?』美咲と優香、二人でハモった。
『あー、今日はおばあちゃんの家に行くんだ。こっとが近道だしね。』咄嗟に口走った。
半分ホントで半分ウソ。今日はなんとなく、あの道を通りたかったから。
