テンパりながら、私は弘と並んで歩く。


「え、何、あれって」


二人と少し距離が出来たのを確認すると、弘は顔を少し近付けた。


「遠田と努、二人きりにするんじゃねえの?」

「あ」


そっか。
努の好きな人、弘は知ってるのか。


なら、この行動は当然だ。



…でも、梨々子の好きな人を知ってる私としては複雑すぎる。



「お前って健気だねえ」

「は?」


弘は手を頭の後ろで組むと、唐突にそう言いだした。