「お待たせー」


それからすぐに現れた弘。
今度は梨々子が嬉しそうな顔をする。


私はどっちの気持ちもわかってるから、表情だけで違うのがわかってしまう。


だからこそ、胸が苦しい。


「さー行こうか!」


わざと、明るい声で私は言う。
それに弘が「おー」なんて言ってくれてホッとした。



「あ、宮島。あれ、貸してよ」

「え」


弘が私の腕を取ると、先に歩く。
必然的に努と梨々子は二人きり。


……え?
何だ、これ。