思考も視界もぼんやりとした深い世界がそこにはあった。
ピッカーン! 私は鼻を鳴らして一言「はっはーん! さては夢だねっ!」
言うまでもなく夢の中だった。
「わかった。お兄ちゃんの言う通りにする」
どこからか声が現れた。不思議な響きで私の頭を揺らした。銅鑼や太鼓の音が体に響くように。
「いつかは……今はほら、となりにいるだろ?」
「私がやれないからやめるんじゃないよ。お兄ちゃんがやりたくないって言うからだよ。お兄ちゃんは……」
悲しい響きの声は尻すぼみに途切れた。
ゆっくりと時間を空けて、落ち着いた響きが話す。
「それでいいんだ。わかったんだ。この計画はきっと失敗しない、けどぜったい成功しない」
「わかんないよ……」
「ほら、よしよし、兄ちゃんがついてる。ヒトリじゃないよ」
「うん」
すんと鼻を鳴らした。
「そうだ、面白いウワサを聞いたんだ、一年に季節外れの転校生が来たらしい。あと、この間、ニュースでやってた親殺しの弟ってのがうちの学校らしいんだ」
「ふーん」
「あれ、もう知ってた?」
「とっくに知ってるよ。じゃあじゃあ、その転校生とおとーとが同棲してるのは?」
「へぇーそうなのか! 全然しらなかったよ」
「でもね、そのおとーとは偽名を名乗ってるの! 調べるの苦労したよぉ」
視界はばちばちと大きな光に包まれていった。
