大学で多少なりともパソコンを扱う学科だったため、一通りは出来る気になっていた。
のに、とにかく仕事が遅い。
割り当てられたその日の仕事の半分も終わらないうちに定時を迎えた琴子は、周りがお疲れ様でーすと帰っていく中、どんどん真っ青になっていく。
いちおう指導の先輩はいるものの、その日は先輩は税理士と会うことになっていたらしく、待てども待てども来ない。
マニュアル書を何度も読んでやっとかみ砕いてちんたらちんたらやっていたらこの時間だ。
もっと周りの人に聞けば良かった、と思っても後の祭りだ。
みなさん定時で続々ご帰宅中の中、わざわざ残ってもらうこともはばかられて。
あああどうしよう、と涙目になっていたところでふとひとりデスクでまだ黙々と作業している男が目に止まった。
そして琴子はその人を知っていた。
そう、あの酔っ払い男、如月だ。
ごくり、と唾をのむ。
後輩の顔は覚えていたい、と言っていたひと。
もしかしたら、ものすごく後輩想いなのかも。
もちろん教えてくれるよね、という安易な考えのもと琴子はそっと席を立って彼の元へ向かった。



