課長が私に恋してる?



「せ、せめてお皿は私に洗わせてください……!
じゃないと、部下としても女としても、私、自分の自信が無くなってしまいそうでして……!」



そう言うと、目の前の如月はフッと苦笑を漏らす。



「………そんな、美味かったか」



「はい、それはもう!お口の中がパラダイス状態でした!」



意気揚々と答えると、どんな状態だよ、という顔をされた。
あまり上手く伝わらなかった模様。



「……じゃあ、これからもたまに作りに来て構わないか?」



「はい!そんなの願ったり叶ったりで………え?」



何を言われたか。
時間差にそれを頭で理解して、簡単に返事をしてしまった自分の口を呪いたかった。



「あの、えっと、……ダメ、じゃないでしょうか」



真っ直ぐに琴子を見つめてくる視線に耐えられなくて、そろりと目を逸らしながら、琴子はおそるおそる返した。



だって、ダメ、だろう。
琴子と如月は仮にも上司と部下だ。