もしかしてもしかして、もしかしちゃうのだろうか。
呆然と如月を見上げる。
むすっと拗ねたようにそっぽを向く上司。
つい、こてん、と琴子は首を傾げてしまう。
「………なんだ」
そう尋ねられたって。
「………いえ、なんでもない、です」
こう答える以外、どうすれば良いというのだ。
(でも、さっきは肩にもたれて寝たフリ(仮)しちゃってたくらいなのに。今は突き放すんだもんなあ)
やっぱり、よく分からない。
「ていうか、そんなことより課長。からかってないで私の野菜返してくださいよ。それ、高かったんですもん」
その言葉に、しばし如月は黙り込む。
なんだろう、言いたいことがあるなら言ってくれればいいのに。
すると彼はようやっと、小さく口を開いた。



