課長が私に恋してる?


そしてその後、いくつか二人でショッピングモールを回ったあと、今日食べる夕飯のおかずを買って帰路に着いた。



いつの間にか日が落ちるのも早くなった。
4時を回った電車の中は、少し混んでいる。
柔らかい夕日の橙は、人も街も同じようにを照らしていく。



荷物を持ってくれた課長は、外の景色をなんともなしに眺めている。



その横顔を見ながら、琴子は自分の中にある課長との思い出をさらっていた。



例えば残業が続いた時に課長とのジャンケンで負けて休憩室の自販機までパシらされたこと。



例えば昼休みに会社近くの喫茶店で会った時に、丁度課長がテーブルの角に太ももをガッツリとぶつけて痛みに悶えていた姿。その後口止め料としてランチを奢ってもらったこと。



あまりプライベートで話したことはないと思っていたが、思い返してみるとそこまで疎遠だったわけでもない。



他の社員ほど気安い関係ではなかったかもしれないが、折々で彼との思い出があるのも確かだった。