話題を切り替えるように、上条が池に鯉のえさをまく。
おもしろいくらいに鯉がぴちぴちとえさの周囲に群がる。
透子もえさをやろうとして、袋に手をのばす。
すると上条が、不思議そうに透子の手をとった。
「天音さんって、手が小さいですね」
「そうですか? 普通だと思いますけど」
特に意識したこともなかったけれど、
自分の手と上条の手の大きさを比べてみる。
男の人だけあって、
手を重ねると指が長く、自分手のひらがすっぽり収まった。
「じっと見られるとなんだか恥ずかしいです」
「爪、キラキラしてますね」
「あぁ……」
透子の爪はマニキュアでピンクから白に
うっすらグラデーションがかかっていた。
その上に小さな銀のラインがひかれ、つややかに輝いている。
「週末にデートだって言ったら、友達がしてくれたんです。
あんまりごてごてしてるのは好きじゃないので、
マニキュアを塗ってもらったくらいですけど」
それを聞いた上条は嬉しそうに目を見開く。
「デートなんですか?」
途端に顔を赤くした。

