缶コーヒーを飲みながら、上条が小さく息を吐く。
「こうやってゆっくりした時間を過ごすのって、
いいですね」
透子も隣で頷いた。
「えぇ。毎日働いていると、
なかなかこうやってのんびり自然を見る時間がとれませんよね」
透子は上条に問いかけた。
「上条さん、大丈夫ですか?」
「えっ?」
「毎日、夜遅くまで働いてらっしゃるんでしょう?
土日、こうやって出かけると、
疲れてしまうんじゃないですか?」
それを聞いた上条は低い笑い声をもらした。
「たとえどんなに疲れていても、
天音さんと一緒ならどこにだって行きますよ」
それから楽しそうに目を細める。
「でも疲れを癒やすなら、温泉とか行きたいですね」
「あぁ」
透子も穏やかに頷く。
「最近行ってないです。
たまには大きなお風呂に入りたいですね」
するとからかうように問いかけた。
「一緒に入りますか?」
飲んでいたペットボトルの紅茶を喉につまらせ、
けほけほと小さく咳をする。
「一緒には恥ずかしいから無理です!」

