上条は胸のポケットからカードキーを取り出し、
リーダーに当てる。
ピッと音がして、
部屋の鍵を解除した。
「……ここは?」
「小規模の会議に使う部屋だ。
普段は俺がサボる時に使ってる」
「え?」
いつも真面目な上条の口から出た
意外な言葉に目を丸くする。
部屋の中は殺風景だった。
隅の方に書類の束がおさめられた本棚がある。
それに白い机が一つと、パイプ椅子が六つくらい。
とりわけ特徴のある物は何も置いていなかった。
「こんな部屋があったんですね」
「俺以外の人間はほとんど使わないからな」
上条は透子を見下ろすように立ち、
彼女の瞳をじっと見つめた。
彼は困惑気味に口を開いた。
「……どうして急に」
「え?」

