また誤解されたり、
傷ついたりすることもあるだろう。
「よろしくお願いします」
そう言って、頭を下げた。
フロアの中は、
まだしんと静まりかえっている。
緊張して、胃がきりきりと痛んだ。
すると。
透子の言葉を聞いていた井上が、小さく拍手をした。
それにつられ、他の二人もパチパチと拍手をはじめる。
部長も堀田と渡部もつられて拍手して、
やがてそれはフロア全体に広がった。
透子はその光景を見て、
照れくさそうに微笑んだ。
――でも、もう大丈夫だ。
自分のことを分かってくれる人だって、
確かに存在するということが、分かったんだから。
「七瀬」
気がつくと、上条が目の前にいた。
「あ、上条さ……」
「ちょっといいか」
「え?」
「着いてきてくれ」
返答する間もなく、手をぎゅっと引っ張られた。
そのまま階段を上り、上の階にあがろうとする。
「あ、あの、上条さん!? 仕事が」
「そんな物はどうでもいい」

