彼がただの上司としてでも、
近くにいて、
たまに話すことさえ出来れば、
満足出来るんじゃないかって
そう思っていた。
けれど。
もう、彼の姿を見ることも出来なくなってしまう。
――上条さんが、この会社からいなくなる。
足元が崩れてしまいそうだった。
ただの同僚になりたいと願ったのなら、
動揺するべきじゃないはずなのに。
透子は冷やりとした息を吸い込み、
窓を見つめる。
ガラスにうつったのは、不安で頼りない顔をしている
自分自身だった。
上条さんがいなくなるのなら、
私は最後に何が出来る?
透子はあることを決意して、足を進めて歩き出した。

