上条は驚きのあまり、 言葉を発することが出来ない。 それでもやっとの思いで息を継ぎ、 小さくつぶやく。 その、女性の姿は。 「……天音さん」 髪型は違えども、藤咲天音そのものだった。 透子の目尻から、 一筋の涙が流れる。 透子は上条を見上げ、声をつまらせた。 「こんなに近くにいるのに、 どうして気づいてくれないんですか?」