上条の、真摯な視線が痛い。
「俺はお前の気持ちの方が分からない」
「私……」
「俺が嫌いなら、どうしてそんなことを聞く?」
上条は離れようとする透子の身体を引き寄せる。
「最近、ずっと俺とまともに話そうとしなかった」
「それは……」
「何か嫌われるようなことをしたんだと思った」
「ちが」
「なのに、キスしても嫌がらないし、
かと思えば自分から部屋に連れこんで服を脱ごうとする」
上条が挑発するように顔を歪めて笑った。
「誰でもいいのは、お前の方じゃないのか?」
透子の瞳にまた涙が滲む。
それに罪悪感を感じたのか、
上条は透子の身体をぎゅっと抱きしめた。
「上条さ、」
「……悪い。言い過ぎた」
「七瀬」
仕事をしている時は聞けない、
少し甘くて掠れた声。
そんな声が耳元で響くと、
また熱い物が身体を駆け巡った。
「俺に答えをくれ。
お前は一体何者だ?」

