透子は彼を睨みつける。
それから無言で着ていた
スーツの上着をベッドに脱ぎ捨てた。
「……七瀬」
上条の声には答えず、
冷静にシャツのボタンを外していく。
一つ。
二つ。
三つ目のボタンを外すと、
中に着ていたキャミソールが見えた。
「おいっ!」
そこでやっと彼女が服を脱ごうとしていると分かり、
上条は透子の手を止める。
いや、わかっていた。
何をしようとしているかはわかっていたけれど、
彼女の行動の理由が理解出来なかったのだ。
「何やってるんだ!」
微動だにしない透子の腕を、
ぐいっと服から引き剥がす。
そして透子と顔を突き合わせ。
上条が唯一分かったのは、
――七瀬透子がひどく怒っているということだった。
まるで冷気でもまとっているように、その瞳は冷たい。
「ためしてみますか? こっちも慣れているか」
その発言に、かっと頭に血がのぼった。
「ふざけるな!
お前、自分が何を言ってるのか分かってるのか!?」

