「は、ぁっ……」
かくんと足の力が抜け、倒れそうになって
上条の腕にしがみついた。
上を見あげると、
上条は薄く微笑んでいた。
「どうして、こんな」
透子が質問すると、
彼はからかうように笑いながら答えた。
「思ったより慣れてるな、七瀬」
かっと顔が熱くなる。
その瞬間、
頭の中で、何かがパチンと弾けたような感覚に陥って。
「……っ!」
透子は上条の腕を強く引き、
持っていた鍵で乱暴に部屋の扉を開ける。
「おいっ! どうした?」
透子は自分の感情を
完全に飼い馴らせなくなっていた。
もう、どうにでもなれと
思ったのかもしれない。
透子は中に入った瞬間、
無表情でガチャッ、と鍵をかける。
冷たい空気、暗い部屋。
その突然の行動に、上条は少し恐れを抱いた。
「……おい、七瀬?」

