彼に好きな人がいるなら、
余計なことをせず、
ただの部下としてきちんとするべきなのに。
――もう、限界なのかもしれない。
その瞬間上条の顔が驚きに変わり。
「あっ……」
それから透子を背後の壁に押し付け、
顔に指を当て上に向かせた。
「上条、さ……」
影が重なり、彼の顔が近づいてくる。
何が起こるのか分かっていても、
拒むことなんて不可能だった。
「んっ……」
口づけがだんだん深い物になっていく。
大きな手が、背中を滑っていく。
口の中にあるマウスピースに気づき、
一瞬不思議そうな表情になる。
それからまた、
ぎゅっと頭を引き寄せられた。
透子は目を閉じて、
ただ彼の口づけに応えていた。
その指に触れられれば、もっと彼を欲しいと思う。
懐かしい唇の感触を味わうと、
もっと貪欲に求めたくなる。
熱い眼差しが向けられているだけで、
下腹部に集まった熱い物が
じわりと溶けるような感覚があった。

