「……泣いてたのか」
頬には涙のあとが残っていた。
冬馬には、
いつも隠し事が出来ない。
透子はきゅっと唇を噛み締めた。
「上条さん、他に好きな人が出来たって」
聞いた途端、冬馬の表情が怒りに染まる。
「あいつっ!」
けれど透子の落胆した顔を見て、
一気に気持ちが静まる。
「……誰もいなくなっちゃったよ」
「え?」
まるで道に迷った子供のように、
心細そうな透子が目の前にいた。
「お母さんも直樹さんも、
私の大事な人はみんないなくなっちゃったよ」
幼い頃のように。
昔のように涙を流しながら、
透子は苦しそうに訴えた。
「また一人になった!
私の大事な人は、いつもみんないなくなっちゃう!」
冬馬は気づけば衝動的に、
透子の身体を抱き寄せていた。
「俺は」

