☆
透子がシャワーを浴びようと起き上がると、
ピンポン、とインターホンが鳴ったのが聞こえた。
「ん?」
時計に目をやると、
もう十時を過ぎていた。
新聞屋の勧誘にしては、遅すぎる時間。
こういう不意の来客に対応するのは
いつまでたっても慣れずに緊張する。
物音を立てずにそっと扉に近づき、
覗き穴に顔を寄せる。
蛍光灯に照らされて立っていたのは、
金色の髪の男だった。
「……冬馬」
透子は驚き、
すぐに扉を開け放つ。
「冬馬、どうしたの?
ここまで来るなんて、珍しい」
冬馬は中に入って靴を脱ぎ捨てると同時に、
深く頭を下げた。
「悪いっ!
葬式にすら出られなくて!」
透子は電気をつけ、冬馬を椅子に座らせた。
「海外に行ってたんでしょ?
仕方ないよ。
ヘアメイクのコンクールがあったんだよね?
どうだった?」
「それはまぁ、普通に優勝したけど、
お前……」
「えっ、本当!? じゃあお祝いしなきゃ!」
冬馬は眉をひそめ、
不自然に明るい口調の透子をきつく睨んだ。

