「どうして死んじゃったの!?
私、これからどうすればいいの!?」
彼に言っても仕方がないと。
いくら上条さんがいいと言っても、
甘えるべきではないと。
分かっていても、
とめどなく感情の波が襲ってきて
押さえることが出来なかった。
「置いていかないで! お母さんっ……!」
透子は我を忘れ、
しばらく大きな声で泣き続けた。
ずっと我慢し続けて、
こんな風に泣いていなかった。
今までは現実を認識することが出来ていなかった。
悲しみが心の中にようやく浸透して、
いくら泣いても涙が枯れなかった。
そして透子は上条の腕を握りながら、
彼がそばにいてくれてよかったと思った。
……一人でなくてよかった。
きっと一人きりでは、耐えられなかった。
埋もれてしまいそうな悲しみの中で、
ただ一筋の光が彼だ、と思った。
透子は瞳を閉じ、
ひたすら感謝した。
上条さんがいてよかった。
側に彼がいてくれて、本当によかった。
心からそう、思った。

