もしかしたら、
夢ではないのか?



もはや、自分が何をしているのかも分からなかった。



ふらふら歩いていると、


突然腕を後ろから引かれる。


「っ……!」



驚いて後ろを振り返った。



今まで何もうつっていなかった透子の瞳に、

上条の姿がとらえられた。


「あ……」



そこでようやくはっとして、
透子は大きく目を見開く。



「え? あ、上条さん!?
どうして」



透子は動揺してあたふたと上条を見上げる。

病院におくってくれた後、
てっきりすぐに帰ったと思っていた。


もしかして、ずっと自分を待っていてくれたのか。



「あれから何時間たって……!

すみません、上条さんのこと、
ずっと待っていたなんて、
私……」


混乱して、うまく言葉が出てこない。


上条は静かに透子を見下ろし、
ゆっくりと告げた。