「いいじゃねぇか。
普段はどうせその顔では歩かないんだろ?
一回くらいどんな態度になるか試してみたって、バチ当たんねぇよ」


「そうかな……
冬馬にはそろそろバチが当たったほうがいいんじゃないかな……」

「うるせーよ」



最初は全く相手にしていなかったけれど、だんだん好奇心が湧いたのも事実だ。


普段感情を全くと言っていいほど表さない上条も、やっぱり仕事を離れた場所では違う表情を見せるのだろうか?


透子は仕事中の上条の様子を思い出してみる。


いつも難しい顔をして、夜遅くまで熱心に仕事をしている。


たとえ休み時間でも、社内の飲み会であっても、思えば彼が誰かと気さくに話したり冗談を言ったりしている所はとんと目にしたことがない。


そんな彼が心を開くと、一体どんな態度になるのだろう?



思考しているうちに、冬馬が悪ノリしてくる。


「なんだったら、俺がお前に絡む役やってやろうか?
おねえちゃーん、一緒に遊ぼうよーって」