冬馬は冬馬で、
面白いと思いつつ上条の言ったことを考えていた。
「そうか、整形なぁ……」
この男なりに真剣に思考した結果だったのだろう。
そう思うと事実と正反対すぎて、
くっ、と笑いが漏れた。
「あいつは整形なんてしないよ。
誓って言えるけど、あいつの顔は
何もいじってない天然物だ」
それから頭の中でだけ付け足す。
まぁ、何度か整形したいと
考えたことはあったみたいだけど。
ただし、それは美女になるためじゃない。
むしろ、美しい顔を一般的な女性のように
変更したいという、
普通の人間には到底理解できないような悩みだった。
ただ透子もいくら嫌い嫌いと言えども、
さすがに自分の顔を切ったり縫ったりするまでには
いたらなかったらしい。
平均的な女性の価値観としては、
当然の答えといえば当然だった。
「そう、か」
上条は自分の肩の力がふっと抜けるのを感じた。
どんな言葉が返ってきても耐えられるよう
覚悟していたが、やっぱり安心したのだろう。

