「………………………………はぁ?」
たっぷり沈黙した後、
彼からかえってきたのはそんな返事だった。
その一言で、自分の考えていたことが完全に
的外れなものだと分かる。
上条は急に気恥ずかしくなり、
頭をかいた。
「いや、本人に聞くべきなのは分かっているが。
その、さすがにデリケートなことだから、
傷つけてしまいそうで」
「で、俺に聞くのかよ」
冬馬の飽きれきった顔に、
上条は照れたように肩をすくめた。
「あぁ……
昔から親しい君なら、
知っているんじゃないかと思って」
冬馬は眉間にシワを寄せ、
ばっさり言い切った。
「……おっさん、アホだろ」
「誰がおっさんだ!」
突然放たれた失礼な発言に、
思わず怒ってしまう。
「あんたいくつだよ」
「まだ二十九だ!」
「俺二十四だもん。
俺から見たらあんたおっさんだよ」
上条はむっとして黙りこんだ。

