「だからお前、いつも帰りが遅かったんだな。
少しおかしいと思ってはいたんだ」
他の女子社員と同じように仕事をしていれば、
七瀬も定時で上がれるはずだ。
一日に達成すべき内容は、
大体どの女子社員も同じくらいになっている。
よっぽど七瀬の効率が悪いのかと不審に思っていたが、
理由を知ればなんてことはない。
自分の持ち分より先に木本の仕事をこなし、
その後で割り当てを達成しようとすれば、
帰りの時間が遅くなるのなんて当たり前だ。
しかも何が許せないかと言えば、
自分の仕事を押し付けた木本はのうのうと
定時で上がっていたことだ。
上条は顔をしかめ、透子が作成した資料を
じっと眺める。
透子は消え入りたい気持ちで下に俯いていた。
知らなかったとはいえ、
木本さんに悪いことをしてしまった。
それに責任問題になったら、
上条さんにも迷惑がかかるかもしれない。
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「……今日はこれを、木本に言われてから
一時間で仕上げたのか?」
「はい」

