昔冬馬が、
「処女なんてめんどくせぇ。
さっさと捨てとけ」
みたいなことを話していたのを、ふっと思い出した。
……とは、さすがに今言うべきでないことは分かる。
一方上条はそんな透子を見て、
本当に隠し事が下手な人だと思う。
今までも嘘をついているのだろうと思うことはあったけれど、
あらためて天音は本来人を騙すようなことが
出来る人間ではないのだと確信する。
……少し、甘すぎるかもしれないとも思うけれど。
しょうがない。
自分はもう、彼女の言葉を信頼すると決めたのだから。
透子の顔を引き寄せ、頬にキスする。
「んっ……」
「本当に好きな人なら、
面倒だなんてまったく思いませんよ。
ただの遊びだったら、そういう気持ちになる人も
いるかもしれませんけど」
それを聞いた透子は、嬉しそうに頬を緩めた。
「そうですか。……よかった」

