彼女を形作るすべてが愛しくて、
触れるたびに
自分などが彼女に触れてもいいのだろうか
と葛藤が生まれるほどだった。
彼女を強く抱きすくめ、
身体中に何度も口づけを落とす。
「……んっ」
慣れないながらも、
自分の愛撫に精一杯応えようとしてくれる
姿がいじらしい。
「やめますか?」
今さらそんな気はちっともなかったけれど、
そう問いかけると透子ははっきり断った。
「い、嫌です!」
しばらく迷った後、決意したように
力を緩めた。
薄く開いた唇から、
弱々しい声が漏れる。
「でも、あんまり見ないでください。
……恥ずかしい、から」
上条はそれに優しく微笑み返した。
「っ!」
透子はびくっ、と
大きく顔をそらした。
「あ……っ」
「力、抜いてください」
彼女の手が震えているのが分かった。
細い指先を強く握りしめる。
「直樹、さんっ……」
甘えるようなその声を聞いて、
何も考えられなくなった。
残念ながら彼女を気遣う余裕はあまりなかった。
彼女の声に、肌の感触に、甘い香りに。
すべてに溺れるように、ひたすら身体を突き動かした。

