「……一体何人いるの?」


「さぁ? 今は五人か?」


透子の目がむっとしたように細められる。


「冬馬って、人として最低だと思う」

「俺の勝手だ」



それからふっと笑みをこぼした。


「でも冬馬は仕事、楽しそうだね」


「ずっとやりたかった仕事だからな。
天職かもしんねーとは思う。不満もそんなないし」


冬馬はメイクアップアーティストの仕事をしている。

腕はかなり優秀らしく、最近は女優やモデルの化粧までしているらしい。



その仕事のおかげで、透子は彼に『擬態』の道具を分けてもらうことが出来た。


シリコンのパッドやセロハンは消耗品なので、たまにこうして会う機会を見つけて分けてもらっている。
就職前くらいからだから、こんな生活が実に一年近くも続いていることになる。


冬馬が手を止め、鋭い瞳で探るように透子を見つめる。


「お前は?」

「……」


透子はうつむき、口をもごもごとさせた。